仕事レベルのカラーマネージメント環境を低価格で構築する

デジカメなんぞを購入すると、すぐに「モニタと印刷物の色が合わないんだけど」という壁にブチ当たる、そんな経験をされた方も多いことでしょう。ネットで検索して中途半端に勉強すると「カラーマネージメント沼」に遭遇し、ズルズルハマっていくことになります。

ひとつの要因が、入力から出力のデバイスをすべて扱うメーカーが無いこと。デジカメを印刷する場合、必要になる機器は「デジカメ、パソコン、ソフトウエア、モニタ、プリンター、用紙、照明」といった具合に多岐に渡ります。ネットで勉強すれば、各ジャンルで評判の商品を購入する傾向になるので、メーカーがすべてバラバラになるのが実情。1つのメーカーで包括的に販売されていないことが大きな要因だと思っています。

設定についても、メーカーが推奨する設定は「汎用性を重視した内容」であり、規格上の誤差はとても大きいのが実情です。例えば、印刷する場合「モニタの色温度をD50に設定する」と記載があると思いますが、これは規格に沿ったもので、色の許容値はけっこう大きい内容でした。

例えば、設定通りに出力してモニタと印刷物の色が異なって見えたとしましょう。基準値が広い=大きな誤差も許容する結果になり、このぐらいの誤差は問題無いと判断されるかもしれません。

日本人は几帳面なので、この時点で満足できなければプロユースに近い機材が必要!

僕は学者ではないので、専門家の方からすれば突っ込みどころ満載だと思いますが、極論を言えばその程度なんです。

PROユースに対応するコストパフォーマンス重視の商品選び

満足できる最小レベルの環境を整えるのにいくら掛かるのか? 各アイテムで一番評判のよいものを単品買いでそろえれば、50万円オーバーは確実です。カラーマネージメントをおこなう上で重要なのは「モニタと測色機」。少ない予算を集中投資して、最小コストで仕事レベルで使える欲張りな仕様を考えてみました。

  • モニタ EIZO ColorEdge CS230-CN(カラーナビゲーター6ライセンス付) Amazon価格¥59,094
  • 測色機 X-rite i1Studio Amazon価格¥58,703
  • 合計 ¥117,797

この装備を揃えることが、カラーマネージメントのスタート地点。上記2アイテム(プラス12万円)を追加購入すれば、高価なインクや用紙を無駄に消費せず、もうカラーマネージメントで悩まない仕事レベルに肉薄する環境が手に入ります。iMacやノートパソコンでも外部モニターとして接続できるはずです。

注意 セット購入が前提。どちらか一つだけの購入では、沼から脱出できません! この予算が出せない人は、カラーマネージメントに手を出さない方が良いと思います。無駄な出費をするだけになると思います。

この組み合わせで満足できない場合は「設定が間違っている」か「神経質過ぎる」のどちらかだと思われます。i1 PRO2を購入しても、マッチング精度は向上しますが、感動できるレベルではないと思いますし、趣味レベルであれば過剰投資。レンズなんかに投資したり、撮影旅行などに投資した方が幸せになれると思います。

測色機にX-rite i1Studioを選ぶ理由

20180428_2測色機には大きく分けて「分光光度(プリズム)式とフィルター式」があります。印刷業者さんが業務で使用する測色機は、ほぼ100%が分光光度式で、価格もおどろくほど高価です。フィルター式は安価ですがフィルター劣化する(可能性が高い)ため長期使用に向いていません。そもそも、モニタの経年劣化を補正する目的なのに、測色機が経年劣化しているようではお話になりませんよね。

i1Studioのセンサーは、なんと分光光度式を採用しています。ベストな選択は、i1PRO2だと思いますが、価格が18万円〜と高額ですのでパスします。

i1Studioの欠点は、ソフトウエア。センサー自体は高性能なのですが、i1 PRO2との差別化をおこなうため、ソフトウエアが著しく制限されています。とくにモニタ調整機能が貧弱です。

i1 Studioを選ぶ理由

  1. 測色機が高性能で経年劣化の少ない分光光度式
  2. 分光光度式で最安値
  3. プリンタプロファイルが作成可能

i1Studioの貧弱なモニタプロファイル作成機能は使用しません。モニタプロファイルはハードウエアキャリブレーション対応モニタのソフトウエアで作成します。

アドバイスです。すでに廃盤ですが、カラーモンキーフォト、カラーモンキーデザイン測色機があれば、i1Studioのソフトウエアが無償アップグレードできます。ウチの環境は、CX240+ライセンス+カラーモンキーデザインの測色機+i1Studioといった具合です。NECモノターもあるのですが、発熱して部屋が暑くなるのであまり使っていません。

モニタにEIZO ColorEdge CS230-CNを選ぶ理由

20180428_1

モニタには、通常のモニタとハードウエアキャリブレーションに対応する商品があります。いままでの経験上、通常のモニタをi1プロファイラーを用いてカラープロファイルを作成しても、それなりの結果でした。やはり正確な色を追求するならハードウエアキャリブレーションモニタは必須です。

ColorEdge CS230のスタンダードモデルはハードウエアキャリブレーションできませんが、カラーナビゲーター6というライセンスを追加購入すると使用可能になります。別途購入することも可能ですが、どうせ買うならカラーナビゲーター6付きの「CS230-CN」を購入するのが得策です。

で、ですね、ColorEdge CS230-CNは測色機にi1 Studioが使用できるんです。 i1Studioのソフトウエアは、モニタの色温度が「D50、D55、D65」の3種類しか使えないように制限されていますが、カラーナビゲーター6を使えば色温度が自在に設定できるようになります!

ColorEdge CS230-CNを選ぶ理由

  1. ハードウエアキャリブレーション対応(別途ライセンス必須)
  2. ColorEdgeで最安値
  3. I1 Studioの測色機が使用できる

になります。I1 Studioの測色機を使うことで、ハードウエアキャリブレーションの品質が高まります。また、予算が出せるようならCS230でない上級モデルでも問題ありません。

ちなみにEIZOが嫌い、という人もみえるかもしれません。NECのハードウエアキャリブレーション対応マルチシンクにスペクトラビューというライセンスを買い足せば、I1 Studioの測色機が使えるはずです。

※参考までに安価なベンキュー、LGなどのハードウエアキャリブレーション対応モニタは、I1 Studioの測色機には対応していません。

X-rite i1Studioは用紙ごとのプリンタプロファイルが作成可能

カラーマッチングには、モニタプロファイルとプリンタプロファイルの両方が作成できることが必須条件だと思います。安価な測色機、たとえばi1ディスプレーの価格は28,000円程度で割安ですが、プリンタプロファイルが作成できません。 i1Studioは3万円どの高額ですが、センサーが分光光度式なので、かなり高精度なプロファイルが作成できます。

プリンタプロファイルが自主制作できれば安価なプリンタでもOK

プリンタプロファイルが自主制作できれば、安価なプリンタでも色がばっちり合います。インクジェットプリンタの性能は価格によってさほど大差ありません。最高機種を購入しなくても、1万円そこそこのプリンターでも満足いく仕上がりが得られるはずです。

また、キヤノンプリンタ+エプソン写真用紙ライト用のプリンタプロファイルを作成すれば、コストパフォーマンス抜群です!

OSがMacの場合、キヤノン製プリンタは色補正無しで出力できませんので避けたいところ。エプソンの方が相性が良さそうです。

AdobeRGBは使用せずsRGB領域に収まるデータ作成能力を身につける

雑誌などに「Adobe RGBは色域が広くてイイ」とか絶賛されていますが、まずはsRGBの領域でレタッチできる技術を身につけることが大切です。まずは、出力データをsRGBの色域に収めて、モニタとプリント出力が一致する感動を味わってください。

ブログなどでプリントの色があわない理由として「青やピンクの色合いがモニタとプリント出力結果と違う」とあります。おおよそ、レタッチの過程で彩度が高くなりすぎ、プリンタの色域から外れたデータを作ってしまったことが要因。いじくり倒して「白トビ、黒つぶれ、トーンジャブ、彩度の飽和」など、データを破壊しているに過ぎないのです。

破壊された印刷データを元に、モニタとプリンタ出力の色が合わないと言われても、理論的に無理なんですね。プロのデザイナーさんなどは、商業印刷が最終目的。sRGBの色域よりもさらに狭いCMYKの範囲で、赤や青を正確に再現できるよう日々格闘しています。

例えばポートレート。モニタで目視だけで確認するだけではなく、肌色部分を数値で確認します。

  • C=10%以内
  • M=20%前後
  • Y=25%前後
  • K=0%

この数値に収まるように補正すれば綺麗な肌色が出せるハズ。「もう少しマゼンタが強いほうがいい」という好みにも対応できますし、安定した出力ができるようになります。仮に肌色成分にCが30%も含まれていれば綺麗なプリント結果は得られません!

プリンタの色域に撮影データが収まっているか確認する方法

Photoshopのメニュー「表示」「校正設定」「カスタム」を選択。シミュレーションするデバイスで、i1Studioで作成したプリンタプロファイルを設定します。

で、「表示」「色の校正」にチェックを入れれば、プリンタ出力が確認できます。チェックを入れた時に色合いが変化する場合は、残念ながらプリンタプロファイルの色域に収まっていない可能性を疑いましょう(笑

「表示」「色域外警告」にチェックを入れてグレー表示された箇所が、プリンタプロファイルの色域から逸脱し、正確に表示(プリント出力)できない部分になります。グレー表示が出ないようにレタッチする技術を身につける必要があります。

まずは、シミュレーションするデバイスを正確に割りあて、「色の校正」と「色域外警告」にチェックを入れた状態でレタッチすることを推奨します。

モニタの色温度は出力用紙の白にあわせる

趣味でフォトレタッチを楽しんでいる方は、撮影データを他人に流通することは皆無だと思います。自分のパソコンでレタッチをして、自分のプリンタで出力する。完全なクローズド環境なので、流通する配慮はいりません。

モニタの色温度は、教科書に書いてあるD50は無視して、紙色にあわせましょう。モニタの横に印刷用紙を置き、モニタの白と用紙の白が一致する色温度に設定すればいいんです。用紙によって色温度は変化しますので、個別にプロファイルを作成します。

1枚の写真をブログやプリンタ出力で使用する場合は、印刷用の色温度、ネット用の色温度、といった具合で2つのデータを作成する必要があります。

その他の要素として蛍光灯があります。できればD50の高演色蛍光管に交換するのが望ましいです。しかし、これはモニタと印刷物の色が合っている確認するためのもので、自己満足にすぎません。写真を普通の部屋で鑑賞する時には、光源が変わって見え方が変わる訳ですから。鑑賞する光源で綺麗に見えることも重要だと思います。

これだけLEDが普及している現状、高演色蛍光管がいつまで安定入手できるかは不確定要素です。また、紙の蛍光成分は?と揚げ足を取る人もいるかもしれませんが、この時点では無視しましょう(笑

この方法は、個人環境に特化したカラーマッチング方法です。限られた環境下で正確なプリント出力ができるはんめん、他人のモニタで正確な色が表示される保証はありませんので、あしからず。

エンジョイ!

 

 

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